飲食店を開業するとき、食材や調味料などの仕入れ先をどこにするかは、営業を始めてからの使いやすさにも関わってきます。
特に首都圏には、全国規模の食品卸から地域に密着した業者までさまざまな選択肢があります。価格だけでなく、品揃えや配送エリア、配送条件、担当者の対応なども業者によって違います。
この記事では、首都圏の飲食店が仕入れ先を探す際に候補になりやすい食品卸を取り上げ、それぞれの特徴や、業界で聞く現場の声をもとに、どんな店舗に向いているのかを紹介します。
飲食店の仕入れ先は「安さ」だけで選ばない
飲食店を始めるとき、食材の仕入れ先はかなり重要です。
まず考えるのは「少しでも安く仕入れられるところ」だと思います。もちろん価格は大事ですが、実際に業界の話を聞いていると、そこだけで仕入れ先を決めるのは難しいと感じます。
欲しい商品が揃うか、決まった日にきちんと届くか、急に必要になった商品を相談できるか。こうした部分は、店を営業し始めてから意外と大きな差になります。
特に首都圏には、全国規模の業者から地域に密着した業者までさまざまな食品卸があります。都内中心部に強い業者もあれば、神奈川や埼玉など特定の地域に強い業者もあり、店舗の場所によっても選択肢は変わります。
ここでは、首都圏で飲食店の仕入れ先を探すときに候補になりやすい業者を取り上げ、それぞれどんな店舗に向いているのかを、業界で聞く現場の声も交えながら紹介していきます。
首都圏の食品卸は店舗によって向き不向きがある
同じ飲食店でも、どの卸業者が使いやすいかは結構変わります。
例えば、都内中心部で幅広い商品を揃えたい店と、神奈川県で地域に密着した対応を求める店では、重視するポイントが違います。
また、小規模な店舗と中規模以上の店舗でも、必要な配送量や商品の種類、担当者との付き合い方は変わってきます。
そのため、ここでは「この業者が一番」という順位ではなく、どんな店なら使いやすそうかという視点で見ていきます。
なお、以下の内容には各社が公表している情報だけでなく、食品卸の業界で聞く現場の声も含めています。価格や配送条件などは地域や取引条件によって変わるため、実際に取引を始める際には各社への確認が必要です。
日栄商事 都内中心部で品揃えを重視するなら候補に
日栄商事は、食材全般を扱う総合的な食品卸で、特に都内中心部の飲食店ではよく名前が挙がる業者です。
業界で聞く話では、まず強みとして挙がるのが品揃えの豊富さです。必要なものをまとめて仕入れたい店舗にとっては使いやすく、都内中心部で営業する飲食店なら候補に入れやすい業者だと思います。
一方で、東京から離れるほど配送エリアや価格面で条件が変わってくる点には注意が必要です。特に神奈川県などの隣接県では、場所によって配送を行っていなかったり、都内中心部と比べて卸価格が高めになったりするケースがあります。
また、商品代とは別に「配送補助費」という形で送料がかかる点も、仕入れコストを考えるときには忘れないようにしたいところです。
価格だけを見ると必ずしも最安を狙うタイプの業者ではありませんが、都内中心部で幅広い商品を安定して仕入れたい店舗にとっては、攻守のバランスが取れた業者という印象です。
TOHOグループ 中規模以上の飲食店に向きやすい総合卸
TOHOグループは、首都圏から北関東にかけて幅広く展開している食品卸です。
複数の食品卸が買収によってグループに加わっているため、地域によってそれぞれの会社がもともと持っていた特徴が残っている部分もあります。以前からの取引先や地域とのつながりを引き継いでいるところも、TOHOグループの面白いところです。
価格については、特別に「安さに特化した卸」というより、高すぎず安すぎず、全体としてバランスを取った仕入れ先という見方が近いと思います。
一方で、個人経営の小さな町中華などをメインターゲットにする業者というより、ある程度の規模がある飲食店との相性がいい印象があります。
中規模程度の飲食店で、価格だけに偏らず、品揃えや配送なども含めて安定した仕入れ先を探している場合には候補に入れやすい業者です。
沼田商事 東京・神奈川で地域密着の対応を求めるなら
沼田商事は横浜に本社、東京にも拠点があり、東京・神奈川の飲食店に強い食品卸です。
この業者について現場で聞く声として特徴的なのが、配送員が営業も兼ねていることです。納品のときにその場で相談しやすく、取り扱いのない商品でも取り寄せられるものは対応してくれるなど、細かな要望に応えてくれるタイプの業者です。
特に中華系の食材については、中華街に近いという立地もあり、中華料理店からすると安心して相談しやすい存在という声があります。
また、急に商品が必要になったときに、通常の配送日ではなくても相談すると対応してくれることがあるなど、こうした小回りの利く対応を重宝する店舗もあります。
大手の卸業者のように「とにかく規模で選ぶ」というタイプではありませんが、担当者と相談しながら仕入れをしたい店や、細かな要望に対応してほしい店とは相性がいい卸業者です。
IZUMIYA JFDAブランドを使いたい店舗に強い選択肢
IZUMIYAを考えるうえで外せないのが、ジェフダ(JFDA)のPBブランドです。業務用食品では、PB商品をうまく使えるかどうかで仕入れの組み立ても変わってくるため、ジェフダの商品を使いたい店舗にとっては大きな強みになります。
特定の料理だけに特化するというより、普段から使う業務用食品をまとめて仕入れたい店舗とは相性を考えやすい卸業者です。
仕入れ先を比較するときは、単純な商品単価だけを見るのではなく、普段使う商品がジェフダを含めてどの程度揃うのかまで確認しておくと、実際の仕入れでは判断しやすくなります。
西原商会 幅広い商品を扱い総合卸を探しているなら
西原商会は、業務用食品を幅広く取り扱う総合食品卸です。食材だけでなく、飲食店で使うさまざまな商品をまとめて仕入れたい店舗にとって、候補に入れやすい業者です。
特定のジャンルに絞って仕入れるというより、日常的に使う商品を一つの卸業者から幅広く揃えたい店舗とは相性がいいでしょう。
また、飲食店向けの配送・営業体制を持っているため、仕入れ先をできるだけ一本化したい場合にも検討しやすい業者です。
一方で、地域や店舗によって配送条件や取り扱い商品は変わるため、実際に利用する場合は、自店のエリアへの配送可否や普段使う商品の取り扱いを確認しておくと安心です。
中国系食品卸 価格を重視する店舗なら選択肢に
中国系の食品卸は、中華系の食材をできるだけ安く仕入れたい店舗にとっては、有力な選択肢になります。
特に中華料理でよく使う食材などは、一般的な総合卸とは違った価格で仕入れられることもあり、仕入れコストを抑えたい店舗ではメリットがあります。
一方で、価格だけでなく、担当者とのコミュニケーションや納品時の対応なども含めて、自分の店舗に合うかを確認しておきたいところです。
中国語でのコミュニケーションが取れる店舗や、仕入れ価格を重視したい店舗であれば、一般的な食品卸とは別の選択肢として検討する価値があります。
食品卸を選ぶときに確認しておきたいポイント
食品卸は、単純に「一番安い業者」を選べばいいわけではありません。
実際に取引を始めると、商品の品揃えや配送条件、担当者とのやり取りなど、価格以外の部分が日々の使いやすさに影響してきます。
特に確認しておきたいのは、次のようなポイントです。
- 普段使う食材が揃っているか
- 店舗まで配送してもらえるか
- 配送曜日・時間帯が営業に合っているか
- 最低注文金額や配送条件があるか
- 配送補助費など、商品代以外の費用がないか
- 急な追加注文などに対応してもらえるか
- 担当者に相談しやすいか
同じ首都圏でも、東京・神奈川・埼玉・千葉では配送条件が変わることがあります。
また、店舗の規模や料理のジャンルによっても相性は変わるため、価格だけでなく「自分の店が実際に使いやすいか」という視点で比較することが大切です。
まとめ 自分の店に合う食品卸を選ぶ
首都圏にはさまざまな食品卸があり、それぞれ得意とするエリアや商品の特徴、対応の仕方が違います。
今回紹介した業者も、
品揃えを重視するのか、価格を重視するのか、地域密着の対応を求めるのかによって向いている店舗が変わります。
最初から1社に決めるのではなく、複数の業者に相談して、商品の価格だけでなく配送条件や担当者の対応まで比較してみるのがおすすめです。
特に開業直後は仕入れの量や必要な商品も変わりやすいため、「安く買えるか」だけではなく、「営業を安定して続けられる仕入れ先か」という視点で選ぶことが、長く付き合える卸業者を見つけるポイントになります。